●地域研究コンソーシアム賞
地域研究コンソーシアム(JCAS)は、その規約において「国家や地域を横断する学際的な地域研究を推進するとともに、その基盤としての地域研究関連諸組織を連携する研究実施・支援体制を構築することを目的とする。これにより、人文・社会科学系および自然科学系の諸学問を統合する新たな知の営みとしての地域研究のさらなる進展を図る」と述べ、それに続いて(1)共同研究の企画・実施・支援、(2)海外研究拠点の設置運営と国際的な共同研究・臨地研究の企画・実施、(3)研究成果の国内外への発信・出版、(4)地域研究情報の相互活用・共有化と公開という具体的目標を掲げています。
地域研究コンソーシアム賞は、上記の目標を達成する上で大きな貢献のあった研究業績、共同研究企画、そして社会連携活動を広く顕彰することを目的として授与されます。研究業績を対象とする「研究作品賞」、若手研究者の研究業績を対象とする「登竜賞」、シンポジウムなどの研究企画を対象とする「研究企画賞」、社会連携活動を対象とする「社会連携賞」の四つの部門によって選考を行い、毎年秋に行っている年次集会で受賞者を発表・顕彰しています。
第7回(2017年度)地域研究コンソーシアム賞
審査結果および講評
第7回(2017年度)地域研究コンソーシアム賞(JCAS賞)の受賞対象作品ならびに受賞対象活動について同賞審査委員会の審議結果を発表します。
今回の募集に対して、研究作品賞6件、登竜賞9件、研究企画賞1件、社会連携賞1件の作品あるいは活動の推薦がありました。本審査委員会で慎重に審議した結果、研究作品賞、登竜賞、社会連携賞について、以下の作品あるいは活動を受賞対象として選出しました。また、研究企画賞については該当なしとしました。
■ 研究作品賞受賞作品
雲和広氏
Tatiana Karabchuk, Kazuhiro Kumo, and Ekaterina Selezneva著
Demography of Russia: From the Past to the Present
(Studies in Economic Transition)
(Palgrave Macmillan)
■ 登竜賞受賞作品
長田紀之著
『胎動する国境──英領ビルマの移民問題と都市統治』
(山川出版社)
■ 社会連携賞受賞活動
NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク、
東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門(代表者 荒武賢一朗)
歴史資料保全活動と地域社会との連携
今年度から審査方法が変更になっています。地域研究コンソーシアムの運営全体を効率化、簡素化するための改革の一環です。審査方法は、従前は、運営委員会による一次審査、専門委員による二次審査からなり、最終的には専門委員によって構成される地域研究コンソーシアム賞審査委員会が選出していました。これに対して今年度から、理事会が地域研究コンソーシアム賞審査委員会を兼ねることになりました。運営委員会が担う一次審査による審査対象作品および活動の絞り込みは従前のままですが、専門委員からは、一次審査で絞り込んだ作品あるいは活動に対する評価を書面で回答していただきました。
今年度の専門委員は、研究作品賞については帯谷知可氏、川島真氏、林忠行氏、登竜賞については木畑洋一氏、宮原曉氏、森山工氏、研究企画賞と社会連携賞については臼杵陽氏、清水展氏、竹中千春氏にお願いしました。そして、一次審査の結果および専門委員の評価を踏まえて、地域研究コンソーシアム賞審査委員会(理事会)において審査しました。この場を借りて、審査に関わってくださったみなさま、とりわけ専門委員諸氏に感謝申し上げます。なお、一次審査によって絞り込まれ専門委員による評価の対象となった作品および活動は、研究作品賞2件、登竜賞3件、研究企画賞1件、社会連携賞1件でした。
受賞された3氏には、委員会を代表して心からの祝意をお伝えします。以下は、各章の受賞理由ならびに受賞作品・活動に対する講評です。